お知らせ

Instagramを開く フェイスブックを開く ラインを開く

犬の避妊・去勢手術はいつがベスト?適切な時期やメリット・デメリットを獣医師が解説

犬を迎えた飼い主さんからよくいただくご質問の一つが、

「避妊・去勢手術はいつ頃受けるのがいいですか?」

というものです。

一方で、「本当に必要なの?」「早く手術したほうがいいの?」「デメリットはある?」

など、不安や疑問を感じる方も少なくありません。

この記事では、犬の避妊・去勢手術を行うおすすめの時期や、手術のメリット・デメリットについて、獣医師がわかりやすく解説します。

避妊手術は、女の子(メス)の卵巣や子宮を摘出する手術です。

一般的には卵巣と子宮を摘出する方法が多く行われています。

去勢手術は、男の子(オス)の精巣を摘出する手術です。

どちらも全身麻酔下で行われる手術ですが、現在では一般的な外科手術の一つであり、多くの動物病院で実施されています。

一般的には、生後6か月頃から1歳頃までに手術を行うことが多いです。

ただし、「○か月なら必ず正解」というわけではなく、犬種や体格、健康状態、生活環境によって適切なタイミングは異なります。

例えば、

・ 小型犬では比較的早い時期に性成熟を迎えることがあります。

・ 大型犬では成長がゆっくりなため、体の発育を考慮して手術時期を相談する場合があります。

・ 持病がある場合には、体調が安定してから手術を計画することもあります。

愛犬にとって最適なタイミングは、かかりつけの獣医師と相談して決めることが大切です。

女の子では、初めての発情(ヒート)を迎える前に避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍の発生リスクを大きく下げられることが知られています。

乳腺腫瘍は犬では比較的多い病気で、悪性の場合も少なくありません。

また、避妊手術によって次のような病気の予防も期待できます。

・ 子宮蓄膿症

・ 卵巣疾患

・ 子宮疾患

・ 偽妊娠に伴う症状の軽減

子宮蓄膿症は高齢になるほど発症しやすく、重症化すると命に関わることもあります。

若いうちに予防できることは、避妊手術の大きなメリットの一つです。

男の子では、生後6~12か月頃を目安に去勢手術を検討することが多いです。

去勢手術を行うことで、

・ 精巣腫瘍

・ 前立腺疾患

・ 会陰ヘルニアのリスク低下

などが期待できます。

また、ホルモンの影響によるマーキングやマウンティング、他の犬とのトラブルが改善することもあります。

ただし、これらの行動は学習によって身についている場合もあるため、去勢手術だけで必ず改善するわけではありません。

避妊・去勢手術の最大のメリットは、将来の病気を予防できることです。

病気になってから治療するよりも、若いうちに予防できることは愛犬の健康寿命を延ばすことにもつながります。

散歩中やドッグランなど、思わぬタイミングで交配してしまうケースもあります。

避妊・去勢手術は、そのような予期しない妊娠を防ぐことができます。

発情期には落ち着きがなくなったり、食欲が低下したりする子もいます。

手術によってホルモンの変動がなくなるため、こうしたストレスが軽減される場合があります。

避妊・去勢手術では全身麻酔を行います。

現在では麻酔技術やモニタリング機器の進歩により、安全性は以前より高まっていますが、100%リスクがない手術ではありません。

そのため、術前には血液検査などを行い、健康状態をしっかり確認したうえで手術を行います。

手術後はホルモンバランスの変化により、必要なエネルギー量が少し低下します。

これまでと同じ食事量では体重が増えてしまうこともあるため、

・ 食事量の調整

・ 適度な運動

・ 定期的な体重チェック

を心がけることが大切です。

犬種によっては、避妊・去勢後に毛質がやわらかくなったり、毛量が増えたりすることがあります。

健康上大きな問題になることは少ないものの、長毛種では変化が目立つ場合があります。

繁殖を予定している場合や、犬種・体格・持病などによっては、避妊・去勢を行わないという選択肢が適していることもあります。

一方で、手術を行わない場合には、将来的に発情に関連した病気や生殖器の病気のリスクが残ることも理解しておく必要があります。

大切なのは、「手術をする・しない」のどちらが正しいということではなく、その子の生活や健康状態に合わせて最適な選択をすることです。

可能な場合もありますが、年齢とともに麻酔のリスクや基礎疾患が増えるため、若いうちに手術を検討することをおすすめしています。

性格そのものが大きく変わることはほとんどありません。

ただし、ホルモンの影響による落ち着きのなさやマーキングなどが改善する場合があります。

「一度出産させたほうが健康に良い」という医学的根拠はありません。

繁殖を予定していない場合は、避妊手術について早めに相談することをおすすめします。

犬の避妊・去勢手術は、望まない繁殖を防ぐだけでなく、さまざまな病気の予防にもつながる大切な手術です。

一般的には生後6か月頃から1歳頃までが一つの目安ですが、犬種や体格、健康状態によって適した時期は異なります。

「いつ手術を受ければいいの?」

「うちの子には必要?」

と迷われている方は、ぜひ一度ご相談ください。

不安なことや気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

山本 孟

WRITER 山本 孟

川西池田いぬとねこの病院 院長・獣医師

2012年に大阪府立大学を卒業後、犬と猫を中心とした診療に従事しています。
6年間にわたり動物病院で勤務医として経験を積み、2018年に兵庫県川西市で川西池田いぬとねこの病院を開業しました。
2016年から日本獣医皮膚科学会に所属し、2022年には皮膚科認定医を取得。現在は皮膚科の専門診療にも力を入れています。
また、2023年から眼科専門の動物病院で研修を行い、皮膚科・眼科を中心とした専門性の高い診療に取り組んでいます。地域のかかりつけ医として、わんちゃんねこちゃんと飼い主様に寄り添った診療を心がけています。